U-BOYです。
Wilson AudioのSasha Vをお借りしましたのでレポートします。

以前ご紹介したThe WATT/PUPPYと、まったく同じドライバー構成を持つのがこのSasha Vです。当店では先代のSASHA DAWを常設しておりましたので、当時の記憶と比較しながらその違いを中心にお伝えします。
Sasha Vについて
Wilson Audioのラインナップの頂点には、WAMM Master ChronosonicやChronosonic XVXといった大型機が並びます。
Sasha Vは、そうした上位機の技術を、家庭に収まるサイズへ落とし込んだモデルです。
系譜はWATT/Puppyから続く2ボックス構成にあり、Sasha W/P、Sasha Series-2、Sasha DAWを経て現在に至ります。
WATT/Puppyと違い、クロスオーバーは下部のウーファーモジュールに収められました。Sashaシリーズは上部モジュールを単体のスピーカーとして使うことはできません。
主な仕様
- 形式:3ウェイ・フロア型(ウーファー:リアポート/ミッドレンジ:リアベント/ツイーター:密閉)
- ツイーター:1インチ Convergent Synergy Carbon(CSC)
- ミッドレンジ:7インチ AlNiCo QuadraMag
- ウーファー:8インチ×2
- 能率:88dB(1W/1m/1kHz)
- インピーダンス:公称4Ω(最小2.36Ω/82Hz)
- 推奨アンプ出力:20W/ch以上
- 周波数特性:20Hz〜32kHz ±3dB(室内平均)
- 外形寸法:高さ1145 × 幅368 × 奥行き608mm(スパイク除く)
- 重量:111.1kg(1本)
Sasha DAWからの変更点
外観はDAWとよく似ています。
ただし、ウーファー以外のほぼすべてが見直されました。
ツイーター:CSCツイーターへ

DAWのツイーターは、ネオジム磁石を使った1インチのテキスタイルドームでした。
Sasha Vでは、Alexx Vで初めて採用されたCSCツイーターに置き換わっています。背面には、自社で3Dプリントしたカーボン製のウェーブチャンバーを装着。
ミッドレンジ:AlNiCo QuadraMagへ
DAWの7インチミッドレンジは、WAMM Master Chronosonicと同じ紙・セルロース系コーンのユニットでした。
Sasha Vは、4つのアルニコ磁石でモーターを構成するAlNiCo QuadraMag。
これまではChronosonic XVX、Alexx V、Alexia Vにしか使われていなかったユニットです。
8インチ×2基のウーファーは、DAWと共通となっています。
キャビネット:壁厚25%増とV-Material
X-Material製のキャビネット壁は、DAWより25%厚くなりました。上下のエンクロージャーとも、内部補強にX-Materialが使われています。
ミッドレンジのバッフルは、DAWと同じS-Material。
いちばんの違いは、上下モジュールの接点に新しく入ったV-Materialでしょう。振動を吸収し、上部モジュールをウーファー部から切り離す役割を持ちます。
その分、奥行きは約25mm、重量は1本あたり約4kg増えました。
クロスオーバー:AudioCapX-WAの初投入
自社製の銅製コンデンサー、AudioCapX-WAが初めて使われたのはこのSasha Vです。低レベルの解像度と微細なディテールの再現を狙った部品で、のちにThe WATT/PUPPYにも受け継がれました。
プリント基板は使わず、部品同士をポイント・ツー・ポイントで手作業で結線しています。
時間軸調整:より細かく、より広く

DAWでは、上部モジュール後部のスパイクを階段状のサポートに載せ、段を選んで調整していました。
Sasha Vはこれに加え、前側のスパイクトラックが2段階に。
フロント位置、リアスパイクの有無、アライメントブロックの段(10段階)の組み合わせで、DAWより細かく、幅広いリスニングポジションに合わせ込めます。
細部の変更


- スピーカー端子は新型になり、バナナプラグ・スペードの両方に対応
- 上下モジュールをつなぐケーブルの端子をWilson Audio製スペードに統一
- 内部配線に自社のV-Cableを採用
- 抵抗器のガラスカバーをサムスクリューで開けられ、交換が容易に
- 振動制御フット「Acoustic Diode」が標準装備に(DAWではオプション)
- ウーファー天面に気泡水準器を埋め込み、水平出しが簡単に
なお、カタログ上の能率はDAWの91dBから88dBに下がっています。
ダリル・ウィルソン氏によれば、これは1kHz一点での測定値の違いで、帯域全体の平均では同等とのことでした。
設置について
Wilson Audioは「W.A.S.P.(Wilson Audio Setup Procedure)」という独自の設置法を推奨しています。
部屋の寸法から計算するのではなく、声を出しながら壁際から歩いて移動し、壁の影響で声が重くなる位置、反射で声がぼやける位置を耳で確かめていきます。そうして見つけた「Zone of Neutrality(中立地帯)」にスピーカーを置く方法です。
数値より耳を信じる、Wilsonらしい手順と言えます。
実際の音の印象
常設していたDAWの記憶と比べながら聴きました。
音量を上げてもうるさくならず、どっしりとした安定感がある。このあたりは現代のWilsonらしさそのままで、DAWから変わっていない部分です。
特に違いを感じたのは低域です。
反応が早くなり、そのぶん全体の見通しがよくなり伸びやかな印象を受けます。
いくつかのパワーアンプで鳴らしていますが、鳴らしにくいと感じる場面はありませんでした。一般的な家庭サイズで考えるとちょうどよいボリューム感ではないでしょうか。
大音量にも強く破綻しない安定感があります。
ご購入のご相談や、お手持ちのスピーカーの下取りについては、お気軽にお問い合わせください。

