Thrax Audio フォノイコライザー Cotys 試聴レポート

U-BOYです。

Thrax Audioの新作フォノイコライザー、Cotysをお借りしましたので、紹介させていただきます。

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Thraxブランドとして戦略的な価格帯に投入されたモデルで、国内価格は1,870,000円(税込)です。

ブルガリア Thrax Audio について

ブルガリア発のハイエンドオーディオブランドで、Rumen Artarski氏が率いています。

設計思想の中心にあるのは、機能ごとに独立したブロックへ分けるモジュール構造、入出力をトランスで絶縁するトランス結合、そしてバッファやフィードバックを排した最短信号経路という3つの柱です。

これまで同社のフォノイコライザーといえば、真空管とパッシブLCRイコライザーを組み合わせたフラッグシップOrpheusが代表格でしたが、Cotysはその設計思想を引き継ぎつつ、現代のMCカートリッジに最適化した新世代機として登場しました。

Cotysは現代のMCカートリッジに最適化された新世代機

差動入力段による超低ノイズ

Cotysの最大の特徴は、70nV以下という極めて低いノイズレベルを実現する差動入力段にあります。

現代のハイエンドMCカートリッジは、低出力・低インピーダンスのモデルが主流です。こうしたカートリッジの微細な信号を余すことなく拾い上げるには、フォノステージ側のノイズフロアが何より重要です。

ノイズが低いほど、微小な弱音成分や空間の気配が埋もれずに浮かび上がってきます。

ナノ結晶インダクターを採用した完全バランスLCR RIAA

イコライゼーション回路には、ナノ結晶インダクターを用いた完全バランスLCR方式のRIAA回路を採用。

LCR型RIAAは、コイル・コンデンサー・抵抗の組み合わせでカーブを形成するパッシブ方式で、NFB型やCR型とは異なる音の傾向を持つことで知られています。Thraxがフラッグシップから磨き上げてきた回路思想が、Cotysにも継承されています。

タッチスクリーンで柔軟なカートリッジマッチング

フロントにタッチスクリーン・インターフェースを備え、インピーダンスは100Ω〜1kΩ、ゲインは50dB〜70dBの範囲で細かく調整できます。

MCカートリッジごとに最適なマッチングを探る作業が、手元で簡単に完結します。背面の切り替えやディップスイッチを覗き込む必要がなく、聴きながらの追い込みもしやすいです。

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入力は2系統。RCAとXLRの組み合わせを注文時に選択できます。

音質について

試聴環境

  • アナログプレーヤー:VERTERE SG-1 PKG およびTechDAS Air Force III PremiumS
  • カートリッジ:Lyra Atlasλ およびKleos

試聴してまず感じたのは、SN比の高さです。

曲間はもちろん、演奏中の背景もすっと沈んでおり、音像がその静けさの中から浮かび上がってくるような描写をみせます。

ただし、ノイズの低さを誇示するようなスッキリと線の細い鳴り方ではありません。適度な弾力と厚みを伴いながらも、小気味よいスピード感があります。聴かせ方が上手です。

空間は広大と呼ぶほどではないものの、現代のフォノイコライザーの水準としても十分に広く、スケール感もあります。

総じて、聴いていて楽しい音です。音楽の美味しいところをすくい上げる表現がうまく、長時間聴いていても耳が張り詰めることなく、安心して音楽に身を委ねられる鳴り方です。

インピーダンスとゲインの設定によって音の印象はかなり変わります。インピーダンスは100・110・120・150・200・300・400・900Ωの中から選択可能で、ゲインは50dB〜70dBの範囲で調整できます。

当店のLyra Atlus λでは、65dB・300Ωの組み合わせで試聴を進めました。ゲインを70dBにすると当店の環境ではやや元気過ぎる印象でしたが、65dBに落としたところ、押し出しと落ち着きのバランスが取れ、弦の胴鳴りや声の実体感がきちんと伝わってきます。

こうした追い込みがタッチスクリーンから直感的に行えるのも、実用面で嬉しいポイントです。

まとめ

Cotysは、Thraxの設計思想を凝縮しつつ、現代のMCカートリッジユーザーが手を伸ばしやすい価格帯に落とし込んだ一台です。

タッチスクリーンによる柔軟なマッチングを備えているため、所有カートリッジが複数ある方にも柔軟に対応できます。

ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

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