TITAN808は4つのキャビネットからなる2.5ウェイ設計で、他の全モデルとは異なる構造です。
大型の上部キャビネットにはクレッシェンド・ツイーターと220mmミッドバスユニットが収められ、下部には低音専用のキャビネットが配置され、いずれもノルウェーSEAS社の特注仕様です。

上部キャビネットツイーターは「Kudos Crescendo K3」29mmファブリックドーム、ミッドベースドライバーは220mmのNextelコーティングペーパーコーンで、銅のショートニングリングを備えた39mmボイスコイル。ドライバーはKUDOSロゴが刻まれたアルミニウム位相プラグを収容しています。

下部低音専用モジュールには、SEAS製ダブルコートハードのペーパーコーンドライバーと39 mmのボイスコイルを備えた220mm低周波ドライバーユニットが2基が等圧式(アイソバリック)に配置。ユニット同士が背中合わせに配置され、その間にそれぞれ独立した密閉されたチャンバーが設けられています。

前面を向いたドライバーと、内部に同型ユニットを逆位相で接続し、一方が「押す」動作をすれば他方が「引く」動作を行い、両ユニット間の空気圧を一定に保ち、後方を向いたドライバーは別のチャンバーにも接続され、反射ポートを介して排気されます。

キャビネットにはKudosのパネル共振制御機能も搭載されており、薄い内壁と厚いフロントバッフル、そしてさらに厚いが構造上不要な外壁とトリムが共振制御素材で取り付けられています。キャビネットにはKudosのパネル共振制御技術も採用されており、薄い内部壁と厚いフロントバッフルを組み合わせ、さらに厚い(ただし構造上は非主要な)外側壁とトリムを共振制御材で固定しています。これは機敏性とキャビネットの着色を最小限に抑えるための古典的なBBCの「軽量かつ剛性」アプローチと、比較的重量のあるキャビネットをより適切に管理するための現代的な材料・設計技術を融合させたものです。この設計によりキャビネットはBBCの理想に近づき、その重量から予想されるほどエネルギーを蓄積しません。

バインディングポストの上のパネルは、アクティブな構成のための配線オプションを提供します。U字型リンクのバナナプラグソケットを備えており、これを取り外し差し替えることで、アクティブ構成にするかどうかを設定ができます。アクティブ構成では、ドライバーごとに1つの増幅チャネルが必要です。

Kudos Audioは、SIGAO DRIVEと呼ばれる独自のカスタムクロスオーバーデザインを提供しており、同社のスピーカーを駆動するように特別に設計されています。これは、あらゆるパワーアンプと互換性のある高品質のパッシブコンポーネントです(回路を簡素化し、信号純度を維持するために内蔵電源はありません ) 。
Kudos Audioは、Linn Exakt、Devialet Expert、Naim SNAXOもサポートしています。
実際に試聴してみますと、非常に描きわけをしっかり行える機敏なスピーカーだなといった印象でした。スタジオ録音なのか?ライブ録音なのか?そのマイク位置はどこにあるのか?エンジニアの意図はどこにあるのか?明確に答えてくれる印象です。空間表現能力は、非常にユニークです。おそらく他のスピーカーと比べてもトップクラスといえると思います。表現できる空間の広さ・高さは非常に大容量だと思いますし、それを自在に制御できる能力があり、ソースに合わせて任意に調整しているのではないかと錯覚してしまうほどの説得力も持ち合わせています。
音色の表現自体も安易なキャラクター性を取り入れず、リファレンス的です。ただし冷たい音になりすぎないように有機的な音作りを目指している印象も、うかがえます。例えばヴァイオリンソロのライブ録音では、演奏者とマイクの位置関係を正確に表現してくれますが、それだけにとらわれず演奏者の熱量や音楽の旨味がどこにあるか明示してくれます。
今回はステレオパワーアンプ1台で試聴したのですが、様々なジャンルの音楽を聴いていると、まだまだ可能性が眠っているのではないかと思わせる要素が、いくつもありました。代理店担当者様のお話では、TITAN808を自社試聴室以外でならしたことがなかったらしく、さらなる鳴らしこみにより化ける可能性は大いにあるとのことでした。SIGAO DRIVEによる複数アンプドライブも念頭に入れた設計のため、そちらも機会があれば是非試聴してみたいです。
ご興味のある方は是非当店までお問合せください。
