代理店のご厚意でRIVIERAのハイブリッド・インテグレーテッドアンプ LEVANTEをお借りしました。
RIVIERAの他のアンプ同様、三極真空管の増幅段とソリッドステートの出力段を組み合わせ、グローバル帰還を一切排除した「ゼロ・フィードバック回路」を採用している点が特徴です。
純A級モードでは8Ω負荷時30W+30W(4Ω時60W+60W)、 AB級モードでは、8Ω負荷時120W+120W(4Ω時200W+200W)の出力ですが、AB級動作時においても、各チャンネルの最初の6W は純A 級で動作するそうです。
強力な電源部(500VA超のトランス、130,000μF超のコンデンサ)を搭載していることもあり、プリメインアンプにしては大きめの筐体ですが、この電源部の作り込みから実際の潜在的なドライバビリティはかなり高いと思われます。

RIVIERAのエンジニアLuca Chiomenti氏は、人間の聴覚作用についての詳しい研究を深く理解し、純音を聞くと内耳でハーモニクスが作られるが、耳と脳がこれらのハーモニクスをキャンセルして絶対的純音として知覚する現象を応用し、
電子測定機器ではなく人間の耳のディストーションに対して再生信号の性質にレギュレーションをかけるという発想から、人間の耳に心地よく感じられる第2高調波(偶数次歪み)を重視した設計をすることが特長で、本機でもこうした同社独自の理念と着想を踏まえた設計手法が取り入れられています。

先述したゼロ・フィードバック回路の採用も、ゼロ・フィードバック(無帰還)が人間の耳の歪み特性(偶数次歪みなど)と調和して有機的な音として聴こえる傾向にあるからかと思いますが、
内耳で必ず起きる物理歪みを、末梢から脳中枢へ信号が登っていく求心性神経ルートではなく、「脳から耳の感度をコントロールするため信号を吸い下ろす」逆方向の遠心性神経ルートで抑制したり、聴覚皮質での情報統合で正規化することなどにより、破綻のない綺麗な音(絶対的純音)として再構成するといった高度な人間の聴覚補正システムとの兼ね合いを踏まえた選択なのでしょう。
この聴覚研究結果からもたらされた設計コンセプトの概要は、代理店であるゼファンのRIVIERA紹介ページの下にあります【人間の耳について】もご参照下さい。

機能的特徴は、独自の回路設計(ゼロ・フィードバック+真空管プリ+MOSFET出力)によるRIVIERAの世界観を、組み合わせるスピーカーや音楽ジャンルに応じて「純A級」と「AB級」を使い分けられることです。
この「純A級」と「AB級」の切り替えはフロントノブで音楽再生中に行うことが可能で、切り替え時は数秒間音楽信号をMUTEされ、接続機器に負荷がかからないようなっています。
それぞれの音の傾向をざっくり言いますと、純A級時の音質は滑らかで色彩感豊かで、情緒的な表現が際立ち、AB級ドライブはトランジスタ駆動が際立つ印象で音像は引き締まり、スピード感が前面に出る傾向です。
代理店の方が話していましたが、現実的なエアボリューム試聴では純A級動作でまったく過不足感はなく、ほぼだいたいのスピーカーをドライブできますとのことで、実際の試聴でもそのような印象があり潜在的ドライブ力を感じますが、これは500VA超の電源部が効いているのかもしれません。
あえてジャンルやあわせるスピーカーで「純A級」と「AB級」とを分けるとすると、ジャンル分けでは
・室内楽、交響曲などのクラシック、ジャズ・ボーカル系はより歪み感が少なく、倍音成分や余韻が印象的な消え方をし、3次元的な空間表現にウォーム・トーンがのる純A級、
・ポピュラー系やロック、エレクトロニカ、EDM系は、アタック音の締まりやスピードが際立だち、エネルギー感やソリッドさを得られるAB級
スピーカーで使い分ける場合は、
・高能率スピーカーや、コンプレッションドライバーを積んだスピーカーは純A級
・現代的な低感度、低インピーダンスのもの、また密閉型のスピーカーなどウーファーの制動重視する場合はAB級
といった感じでしょうか。

ただいずれにしても「純A級」、「AB級」どちらもリニアリティは高いので、ジャンルに応じての切り替えでも良いですし、その日その日の気分で音楽をどう聴いて楽しみたいかといったフィーリング重視で切り替えてみる、といった使い方で良い感じがします。
一番印象的な点は、RIVIERAのアンプに共通する独特の気品さをまとったような質感や、蠱惑的な音楽再生表現がLEVANTEからもしっかり感じられることで、この点こそ測定機ベースで設計せず、人間の耳の特性を熟知して開発したからこそ得られるRIVIERA独自の音の世界感なのだと思いました。

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