PMC – Prophecy9 試聴レポート

U-BOYです。

PMCの新製品、Prophecy9をお借りしましたので、試聴レポートさせていただきます。

「Prophecy 9」は、前モデル(日本未発売)twenty5.26iの実質的な後継機ですが、能力を向上させつつ前モデルよりも価格を抑えた(英国定価ベースで)意欲作です。

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技術的特徴「Laminair X」と「ATL」

最大の特徴は、キャビネット内部に折りたたまれた長大な音響迷路「ATL(Advanced Transmission Line)」と、その出口で気流を整える空力技術「Laminair」の融合です。

進化したATL (Advanced Transmission Line)

PMCの代名詞であるトランスミッション・ライン技術。
キャビネット内部に長いトンネル(Prophecy 9では実効長が約2.6m相当)を設けることで、小型のキャビネットからは想像できない深く速い低音を実現します。

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吸音材は中域と高域、および不要な高次高調波成分だけを吸収します

革新技術「Laminair X (ラミネエア X)」

F1の空力工学を応用したベント技術の最新版。従来のtwenty5iシリーズからさらに進化し、ハニカム状やフィン状の出口により空気抵抗と乱気流を極限まで低減します。これによりアンプのパワーに対するレスポンスが向上し、風切り音(ポートノイズ)が皆無に。

Laminair X

ウェーブガイド n-compass™(エヌ・コンパス)テクノロジー

Prophecy 7と9に搭載された55mmミッドレンジ・ドライバーのために開発された、特殊な形状のウェーブガイド技術。

複雑な幾何学デザイン
「浅いカーブ」と「急なカーブ」という、2つの異なる数理曲線を組み合わせて設計されています。

スイートスポット(最適聴取位置)の拡大
特殊な形状により、音の拡散(指向性)を精密にコントロールします。スピーカーの正面だけでなく、部屋の広い範囲で均一な帯域バランスと音場再現が得られやすくなります。

ツイーターとのつながりを改善
高域(ツイーター)と中域(ミッドレンジ)の音の広がり方を揃えることで、2つのユニット間の音のつながりを滑らかにし、自然な再生音を実現しています。

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完全新設計のドライバー構成(3ウェイ・4スピーカー)

高域:27mm ソフトドーム・ツイーター

ユニットを覆うグリルは、単なる保護用ではありません。
高域の周波数特性をブーストするように計算され、超広角(最大180度)にわたる均一な拡散を実現しています。これにより、自然で伸びやかな高域再生を可能にしています。

中域:55mm ソフトドーム・ミッドレンジ

上位モデル(ProdigyやCiシリーズなど)やスタジオモニター直系の、55mmソフトドーム・ユニット。

人間の聴覚が最も敏感な帯域を担うこのユニットは、n-compassウェーブガイドの効果と相まって、透明で「触れられそうな(tangible)」ボーカル表現を実現します。特定のレビューでは2kHz~4kHz付近にわずかな強調が見られ、これがボーカルや弦楽器をリスナーに一歩近づけるような、親密な臨場感を生み出していると評価されています

低域:125mm ×2 LT™XL ウーファ

「LTXL(超ロングスロー)」ドライバー。小口径ながら振幅を大きくとることで、スピードと量感を両立します。

アウトリガーを排したアルミニウム・ベース

Prophecy 9の洗練されたデザインを決定づけているのが、キャビネット底部に備わる重量級のアルミニウム削り出ベースです。

低重心化によるアウトリガーの撤廃

このベース部分は、新開発の空気整流システム「Laminair X」の排気口としての役割を果たしつつ、物理的な重りとしても機能します。この金属塊がスピーカーの重心を大きく下げることで十分な安定性が確保され、その結果、旧モデル(twenty5シリーズなど)で必要だった、足を左右に大きく広げる「アウトリガー(張り出し脚)」が不要となりました。

省スペース性

アウトリガーがなくなったことで、スピーカーの設置に必要な床面積はキャビネットの幅そのもの、わずか16.5cmに抑えられています。

大型のフラッグシップ機でありながら、視覚的な圧迫感が極めて少なく、生活空間を邪魔しないプロポーションを実現しています。

スパイクはベースの底面に直接ねじ込むシンプルな構造で、設置の微調整も容易です。

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品のある優しさと、小口径ならではの俊敏な低域

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振り角に対しては寛容な方で、最終的には写真より外振りにしました

一聴して感じるのは、その空間表現の優秀さと、全体を貫く「品の良い」音色です。

モニター出身のメーカーらしい解像度を持ち合わせてもいますが、音あたりは優しく品のある音。
長時間のリスニングでも聴き疲れしない、洗練されたトーンです。

低域は、ATL(トランスミッション・ライン)の恩恵により、スリムな筐体からは想像できないほど下の帯域までスムーズに伸びます。しかし、量感で満たすような「ふくよかなタイプ」の低音ではありません。あくまでタイトで、制動が効いています。

5インチという小口径ウーファーを採用しているため、トランジェント(過渡特性)が良く、反応は早い。ベースやドラムのアタックは遅れることなく、スパッとでます。

一方で、全帯域がフラットというよりは、特定の帯域にわずかに音が重なるような、独特の「厚み」を感じる瞬間があります。実在感に貢献しているとも言えますが、ドンシャリやカマボコ型とは異なる、PMCならではの特徴かもしれません。能率も91.5dBあり駆動しやすい点もポイントです。

家庭用ハイエンドスピーカーとして、完成度の高い「大人のバランス」に仕上がっていると思います。

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