U-BOYです。
各方面で話題になっている、元ロクサンのトラジ・モグハダム(Touraj Moghaddam)によるブランド、VERTEREのプレーヤーをお借りしましたので簡単にレポート致します。
アクリルを採用したボディは洗練されたイメージで写真で見るよりも高級感もあります。
音も同様でとても洗練されています。
Roksanよりもさらに開放感がありストレスなく音が軽やかに出るイメージです。
また、振動対策、盤に刻まれた音楽情報をロスなく拾い上げるとうコンセプトの通り、付帯音が極めて少なく特定の癖を感じない素直な再生音で、使用するカートリッジやフォノイコライザーの特徴をよく表現します。
かつてのRoksanの最上位モデル、TMSは3層プラッターなっており、同様にゴムのブッシュで巧みに振動コントロールしていましたが、アクリルを使うメリットは、石やMDFよりも軽量でラバーアイソレーションに対する負荷が少ないことも挙げられます。
経年変化に伴う細かな調整をする必要が無いのも大きな改善点の1つですし、調整に関しては比較にならないくらい簡単になりました。
MG1は一見すると2層のボードに見えますが、上段はインナーとアウター部分が独立しており、事実上3枚のアクリルでそれぞれの振動が干渉しないような設計になっています。
高さ調整のできる3点の脚と、モーター部分は上段アウター部分から吊り下げられており、ラバーアイソレーションを介してボトムベースに固定されています。
反対に、ターンテーブルとアームベースが固定される上段インナープラッターはボトムベースからラバーアイソレーションを介して載っています。
レコード盤に触れないように考慮された一般よりも細いセンタースピンドルや、モーター部分に独自のサスペンションを持たせて振動を吸収する思想もRoksan時代から踏襲されています。
モーター部分にはON/OFFできる照明が取り付けられています。これもアクリル筐体だからこそできる遊び心だと思います。レコードを演奏するときに外したセンタースピンドルを収納するためのマグネットも同様です。
トーンアームは、ワンポイントアームのような操作感ですが、ワンポイントアームの動きに対するベアリング部分の微細な滑りを嫌い、3つのボールで支点を受けるトライポイントを採用。
また、アーム部分に取り付けられたリングを前後することで、カートリッジとアームの共振周波数を変化させることができます。これもユニークなところです。
ラテラルの調整はよくあるワンポイントアームのように錘の傾きで行います。
今回細かくセッティングしてみて、調整に時間のかかるのはこのラテラル調整くらいだと思いました。
電源部です。
回転数の微調整はできません。
考え方としては33 1/3を正確に出すことよりも、定速で低ノイズで回り続けることがずっと大事ということです。
ストロボで測ってみてもぴったりと正しい回転数で回っていましたので、回転数については大きくずれるということは無いと思います。
アームケーブルは、標準で1mの長さのものが接続されていますが、特注で長くすることも可能です(要追加料金)。DINストレートのケーブルであれば他社のものへ換装もできます。
トーンアーム、アームケーブル、電源がセットになった状態でこの価格、使いやすさ、仕上げの良さ、そして再生音は非常に魅力的です。