AudioQuest新製品「Brave Heart」を試聴しました。

短期間でしたが代理店のご厚意で、AudioQuestの新製品スピーカーケーブル「Brave Heart」を一般公開前に試聴させて頂きました。

Audio Questに従来からあるテクノロジーをベースに、ミドルレンジクラスのモデルとしてリリースされましたが、近代スピーカーの潜在能力を最大限に引き出すため、まったく新しい構造を採用したとのことです。

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上位2シリーズにしか搭載されていなかった、+導体とー胴体の絶縁体間の相互作用を排除し、特性インピーダンスの不一致を解消、より広いダイナミックレンジと広い周波数帯域を実現した「ZEROテクノロジー」を搭載。

「Perfect-Surface Copper+」(PSC+)単線導体を採用。同社の単線導体の中でも最高グレードとなり、純度の高い無酸素銅で、表面を滑らかにするための2段階の焼きなまし処理(アニール処理)が施されている。導体径は12AWGとのことですが、外形上は最上位Mythical Creaturesより0.6mm小さいだけだそうです。これは正極、負極がそれぞれ独立した円形構造を採用しているためです。スピーカー側のコネクタには、特許技術である72VのDielectric-Bias System(DBS)を搭載、RFソースからのノイズを大幅に低減する。またケーブルには方向性が設けられており、コネクタにスピーカー側、アンプ側の記載があります。また4%のシルバーメッキが施されたドレイン線により、RFノイズの効果的な消散を実現しているそうです。

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オーディオクエスト独自のDBSシステム

内部構造ではFolk HeroシリーズのWilliam Tellで使用しているのと同じ高品質なPSC+を3割多く採用してトルクを大きくしたことで、ダンピングファクターが大きくなり、特に低インピーダンスの周波数特性(特に低域)をもつスピーカーユニットにメリットをもたらします。トルクが大きいほど周波数特性がより平坦になり、導体量が増えることで周波数帯域全体でスピーカーインピーダンス値の変動が周波数特性の影響を低減するとのことです。
絶縁材を増加したことと、物理的に正極、負極の導体間の距離が取れることで高周波ノイズ、磁気干渉を排除しサウンドフォーカスのぼやけも軽減しています。

またグラフェン+カーボンメッシュネットワークによるシールドとなっており、絶縁体はポリプロピレンとなっています。

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グラフェン、カーボンシールドとシルバーメッキされたドレイン線

B&W 801D4 Signatureにつないで試聴してみましたが、オーディオクエスト側で事前にパーマネントモレキュラーオプティマイゼーション(PMO)というバーンインがされているせいか、一聴してすぐわかるほど明快で解像度が高い音で鳴り出し、全帯域のエネルギー感も揃っています。

AudioQuestらしい明快さだけではなく音場感や空気感もよく描かれ、ホールトーンもキレイに再現されており、特に高域成分を多く含む楽器や音源ではスピード感と澄み渡るサスティーンが心地よく共存し、セトリングタイムとディケイタイムがしっかり管理されている感じで、その表現は目を見張るものがあります。

また解析的な要素もしっかりあり、ピアノのグリッサンド奏法などでも音は混濁せずクリアに感じられ、全帯域において解像度があり、音の滲みがなく、1音1音、狙った的にクリティカルヒットしてくるような発音ぶりで、これらは今回AudioQuestがケーブル構造にメスを入れたことによる恩恵なのかもしれません。

低域方向の重厚なエネルギー感や伸びはさすがに上位2モデルMythical CreaturesやFolk Heroシリーズには及ばないものの、高レベルの質感を維持しており、フォーカスも甘くならずスピード感も良好、ブーミーさやスラギッシュさなどない良質な低域表現です。

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方向性、Lch、Rchの指示マーク

Audio Questはケーブルメーカーとしてのみならず、北米市場最大のディストリビューションを持っている企業規模ということもあり、最新モデルをリリースするときは着実に進化を遂げたモデルを出してくる印象が昔からありますが、今回はそれをより実感させるモデルであり、この価格ゾーンではかなり存在感のあるケーブルという印象でした。

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バイワイア接続用のジャンパーピンも付属します

AudioQuset Brave Heart 2.0m

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