TAIKO AUDIO – Extreme Router 試聴レポート

U-BOYです。

日本でもQobuzのサービス開始により、高音質ストリーミングの選択肢が広がっています。より良い音楽再生のためにネットワーク環境の見直しを検討されている方も多いと思います。

オーディオ用スイッチは各メーカーから多くの製品がリリースされていますが、今回は一歩踏み込んで、オーディオ専用ルーターを紹介します。
TAIKO AUDIO社の「Extreme Router」について、実際の使用感と音質の変化をレポートしていきます。

目次

TAIKO AUDIO – Extreme Routerについて

サーバーおよびスイッチの試聴レポートは下記リンクよりご覧ください。

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左上:Extreme Switch / 右上: Extreme Router
左下: DC Power Distributor

Extreme Routerは、高品質なオーディオ再生のために設計された革新的なネットワークルーターです。銅製シャーシを採用し、オーディオ専用の独立したネットワークを構築することで、音楽再生システムをホームネットワークのノイズから保護します。

日本国内向けモデルでは技適の関係上、本体のWi-Fi機能は使用できません。
その代わりにWi-Fiアクセスポイント用としてバッファローWMR-433W2が同梱されています。
また、工場出荷時からホームネットワーク経由でのRoon Remote接続ができるように設定済みです。

主な技術仕様

  • ネットワーク機能

ネットワークインターフェースとして、1Gbps専用のSFPポートと、100/1000Mbps対応のRJ45ポートを備えています。また、高度な設定としてポートフォーワーディング機能を備えており、VNCやファイル共有などの拡張的な使用も可能です。

  • セキュリティ機能

物理的なTPM(Trusted Platform Module)チップを搭載し、暗号化キーやセンシティブデータを安全に保管します。ファームウェアの自動検証機能により不正なアップデートを防止し、サービスの無効化、ハードウェアのセグメンテーション、ファイアウォール設定など、包括的なセキュリティ対策を実装しています。

  • オーディオ最適化

データフローを厳密に制御し、専用のオーディオネットワークを構築することでノイズを低減しています。これにより、ホームネットワークの一般的なトラフィックから完全に分離された、高品質なオーディオストリーミング環境を実現しています。

  • ストレージ機能

上部USBポートを使用してNASとして機能させることが可能です。
(現時点ではext4ファイルシステムのみをサポート)

  • 電源仕様

入力電圧はDC 12-19Vに対応しており、12Vが最適な動作電圧とされています。
基本的な消費電流は12Vで500mAです。高品質な電源供給を使用することで、さらなる音質向上が可能です。Extreme DC Power Distributorを使用することで、さらなるパフォーマンスを引き出すことができます。

セットアップと使用方法

推奨接続構成

既存のホームネットワークの下にExtreme Routerを追加します。

Extreme Routerを使用した基本的な接続構成:
TAIKOでは、消費電力の多い光ケーブル(SFP)の接続を推奨していません。SFP端子は、銅線のDACケーブルの使用を推奨しています。

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ホームルーター → Extreme Router(RJ45/WAN port) → オーディオ機器

推奨事項:

  • TAIKOは消費電力の観点から、SFPポートには銅線のDACケーブルを推奨
  • アクセスポイントはExtreme RouterのRJ45ポートに接続
  • タブレットはExtreme Routerのネットワークに接続推奨
  • Wi-Fiは2.4GHz帯を推奨、接続端末は最小限(推奨1台)に

オーディオ専用の独立したネットワークを構築することで、ホームネットワークから発生するノイズやトラフィックの影響を完全に遮断し、最高品質の音楽再生環境を実現します⁠。⁠​

Extreme SwitchやDC Power Distributorとの組み合わせで、さらなる音質向上が期待できます。また、他社製のミュージックサーバーやストリーマーとの組み合わせも可能で、柔軟なシステム構築に対応します。

Extreme Routerのポート構成

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4つのRJ45ポートがあります。

WAN入力:左端のRJ45ポート(ホームルーターと接続)
LAN出力:3つのRJ45ポートと1つのSFPポート(右端のRJ45ポートはSFPポートと排他利用)

1ポートはアクセスポイントと接続するため、実質2台のオーディオ機器が接続可能
3台以上の機器を接続する場合は、ネットワークスイッチの追加しますが、Extreme Router内の機器は最小構成を推奨しています。

音質について

今回は、ホームルーターから接続しているオーディオ用スイッチ、EdiscreationのSilent Switch OCXO2 & Fiber Box 3をExtreme Routerに置き換えて比較しました。

Ediscreationのスイッチと光絶縁ツールとの比較ですので、一般的なネットワーク環境よりも厳しい条件です。

試聴で使ったシステム

  • SP: KUDOS Titan505
  • Roon Server: Ediscreation BACH JP MODEL
  • DAC: Mola Mola – Tambaqui DAC(イーサネット接続)
  • AMP: CH Precision – L10 & M1.1
  • ソフト: Roonを使用。音源はBachのストレージに内蔵しているもの、Tidal、Qobuzを使用

注意点:
オーディオ用ルーターを追加する場合、ホームネットワークとIPアドレスが変わりますので、比較時には都度、Roon Serverを再起動する必要があります。

当店のBACH JP MODELのOSはWindows Server 2019ですが、当初、Extreme Routerのネットワーク内に接続した際に、タブレットからRoonサーバーとして認識しませんでした。Linuxベースの他社のRoon Serverは電源を再起動すれば認識できたので、Windowsサーバー側の問題です。Windowsサーバー側ネットワークの設定がパブリックネットワークになっていたのが原因でした。プライベートネットワークを選択して解決しました。

Extreme Routerを追加

音質的な好みの変化ではなく、基本的な性能が上がります。より静かに、弱音の表現が掴みやすくなりました。
1つ1つの音に磨きがかかり、研ぎ澄まされていますが、きつい音になりません。生命力が宿り、より生き生きとした表現力を感じさせるような印象を受けます。

今までの経験上、一般的なルーターで2重ルーターを構築してオーディオ専用のネットワークを作るよりも、高品位なネットワークスイッチの方が改善効果が大きいと感じていましたが、このExtreme Routerを追加するメリットはとても大きいです。

Roon Remote用のポート開放設定がデフォルトでされていますので、ホームネットワーク内のタブレットからExtreme Router内のサーバーにアクセスできる利便性も良いです。
(通常の2重ルーター環境では、Wi-Fiを都度選び直す必要があります)

ホームネットワークのWi-Fiに接続しても操作可能ですが、メーカーでは、Extreme Routerのネットワークにつなぐことを推奨しています。今回の比較でも操作用のiPadのみ、このネットワークに接続して検証しています。

Extreme RouterにExtreme Switchを追加

Extreme Switchも一緒にお借りしましたので、Extreme Routerに追加しました。
SwitchとRouter間はDACケーブルで接続、Switchの出力はSFPポート1つです。当店のRoon ServerであるBACH JP MODELはRJ45端子しかありませんので、変換ケーブルを使って接続しました。

Extreme Switchを追加すると、全体のエネルギー感が上がり、アンプの駆動力が増したような大きな変化です。これは、以前にExtreme SGMにExtreme Switchを追加したときにも感じました。このSwitchは入出力1系統しかありませんが、効果はとても大きいです。

当店の環境でも、変化する方向は異なりますが、RouterとSwitchの改善効果は甲乙つけ難いと感じました。

どちらかを先に導入する場合、Roon SeverにExtreme Switchの導入が良いと思います。
(Swtichの方が分かりやすい変化であり、既存のネットワークに追加するだけで他の設定が不要なため。)

Extreme RouterにDC Power Distributorを追加

RouterとSwitchを標準のアダプターから、DC Power Distributor経由で給電に変更しました。
標準は一般的なアダプターです。

ルーターにスイッチを追加した時点で、頂上まで来たような音がしていますが、DC Power Distributorを追加すると、まだ先があるのか…と感じます。
決して大幅は変化ではないですが、音が整う感じで、パズルが完成したような音がしっくりまとまる印象を受けました。

感覚的には、音の変化量を表すと、ルーター:スイッチ:電源 = 40:50:10くらいのイメージです。

おまけ Extreme Routerの手前にEdiscreationを追加

Extreme Routerはホームルーターから隔離されたオーディオ用ネットワークを構築しますが、Extreme Routerより上流の環境の違いが音の差に出るのか実験しました。

結果としては、EdiscreationのSilent Switch OCXO2 & Fiber Box 3を前段に入れても変化します。
よりおおらかで雄大な表現になりました。

つまり、2重ルーターにしても、ホームルーターやONUの影響もゼロではないと考えられます。

Extreme Router まとめ

  • 究極のオーディオ専用ネットワークを構築したい人におすすめ
  • 利便性をできるだけ犠牲にせず、大きな音質改善効果を実現。
  • 2重ルーターは多少のネットワーク知識は必要だが、Extreme Routerは使いやすさも十分考慮されている。
  • 基本的な設定は工場出荷時に最適化済みなので、ユーザー側で細かい設定をする必要がない
  • Wi-Fiも有線も必要最低限の接続を推奨。
  • 他社のサーバーでも利用でき、その音質を十分享受できる
  • Extrem SwitchとRouter間はDACケーブルの接続を推奨
  • DC Power Distributorを追加する場合は、1台でExtrem SwitchとRouterへ給電を推奨(DC Power Distributorを2台使う必要はない)


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