U-BOYです。
倉敷化工(株)が新設したオーディオブランド、GRESIM(グレッシム)のアクティブオーディオボード、響(HIBIKI-65)をお借りしましたので、レポートします。
同社は、産業用の防振・防音対策を数多く手掛けています。
アクティブ除振台は、内蔵の加速度センサーで微細な振動を検知し、その振動に対してボイスコイルモーターで逆の動きを加えて瞬時に打ち消します。
レーザー顕微鏡や電子天秤などの精密機器や測定器の必需品となっています。
その技術をオーディオ用に流用したのが、今回紹介する響(HIBIKI-65)です。
今回はアナログプレーヤーでボードの有り無しを比較しました。
ReedのMuse3C&5Tという同社最強の組み合わせです。プレーヤーはフリクション仕様。
今回は5Tのバッテリー電源からMuse3Cも駆動しております。
ラックは英国Atacamaです。
まずはいつも通り聴き慣れたレコードを何枚か試聴します。
5Tは独自の方式でトラッキングエラーを回避した独創的なアームで、力強さと空間のセパレーションの良さを両立した素晴らしいアームです。
現代のハイエンドオーディオと、旧き良きアナログサウンドの両方の魅力を備えた製品だと思います。盤石のサウンドで、多くのオーディオファイルがレコード再生に求めているものを高い次元でクリアしていると思います。
次にボードの設置です。
HIBIKI-65はW600xD500というサイズで、ちょうどAtacamaのボードと同じサイズです。
ただし、底面が平らのため、今回載せるAtacamaや、Quadraspireのように天板に突起物があると干渉します。
今回はウッドブロックを挟んで設置しました。
浮いているのがわかるでしょうか。
続いてプレーヤーを設置します。
物量感がありますね。見た目の収まりも良くやってくれそうな雰囲気があります。
機器をセットしたあと、本体のロックを解除、レベリングを行います。
荷重と高さが表示されます。
ディスプレイには振動の波形スペクトルを表示することも可能です。
消灯もできます。
いよいよ載せた状態で試聴です。
正直に告白しますと、最初に載せたときは「ノイズレベルが下がって見通しが良くなったな」程度の印象でした。
最初の段階でラックの水平を取り、ボードなしの状態でプレーヤーも水平を取って追い込んでいます。
次にアクティブボードを載せて、プレーヤーを設置、レベリングを行う作業をしておりますが、ボードのレベリングをした上で、プレーヤーの水平を取り直す作業を怠っておりました。
再度この状態で設定を追い込んで試聴すると、広大な空間が現れました。
滲みがなくフォーカスが合うことで定位が向上します。
パッと聞くと耳あたり良い品の良さを感じます。スピーカーの存在が消えて広い空間がそこに現れます。
低域も出るべきところは自然にスーッと下まで伸びるような印象です。
もちろん、使用しているReedのプレーヤー&アームの基本性能の高さがあってのサウンドだと思いますが、ハイエンドアナログプレーヤーをもう1つ上のステージに引き上げるような底力を感じます。
メーカーの説明では、下からの振動をキャンセルし、載せた機器が発生する振動には効果が無いそうですが、リアルタイムで振動スペクトラム表示をすると、音を出さない状態でもプレーヤーが回っているとき、止まっているときで振動の振幅が明らかに異なります。
想像ですが、モーターが回っている微弱な振動が、ラックまで届いて跳ね返っているのではないでしょうか。
いわゆるフローティング系のボードとは効き方が異なるのもそのためではないかと考察できます。