![画像](https://kaitori.u-audio.com/wp-content/uploads/2024/03/analog_top.jpg)
僅かなあいだでしたが、エレクトリさんよりEMT128を借りて試聴しました。
海外資料によるとEMT128フォノプリアンプは、1985年頃のEMT放送用ターンテーブルのフォノステージを交換するプロジェクトとして誕生した背景があるそうです。
引退した当時のプロジェクトリーダーに、現オーナーのミハ・フーバー氏が連絡をとって電子コンポーネントを完成させるよう説得して進められ、フーバー氏のチームらはメカニカルな部分や振動対策を担当したようです。
![画像](https://kaitori.u-audio.com/wp-content/uploads/2022/06/emt128-700x272.jpg)
外観は針先をモチーフにした造形美ともいえるカッコいいデザインで、ゲイン設定時に内部も見てみましたが、各パーツがまるで宝飾品をショウケースに並べられたかのように配置され、見るからに良い音がしそうな雰囲気が伝わってきます。
![画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: emt128_frontpanel-700x404.jpg](https://kaitori.u-audio.com/wp-content/uploads/2022/06/emt128_frontpanel-700x404.jpg)
筐体は薄型ですが豪華に無垢のアルミブロックから削り出され、「先進のエアフローと防振技術」が採用され、筐体内部には、入力側にルンダール製の昇圧トランス、出力側にルンダール製の出力トランスをそれぞれ1組ずつ搭載。
![画像](https://kaitori.u-audio.com/wp-content/uploads/2022/06/emt128inner.jpg)
その間にムンドルフ製の大型コンデンサーMCap ZN Classic Tin Foil”Audiophiler “を1組ずつ配置するなど高品質パーツを基板上に実装。
昇圧トランスと出力トランスの間には、軍事用に開発された「レイセオン5784WB」サブミニチュアデュアル五極管、ワイヤー終端管がチャンネルごとに1トリオずつ搭載され、伝送距離を最短、接点も極力減らして行くよう配慮されています。
![画像](https://kaitori.u-audio.com/wp-content/uploads/2022/06/emt128_rear-700x416.jpg)
リアパネルの入出力部を見ると分かりますように、入力がシングルエンド(RCA)で、出力がバランス(XLR)となっていますので、プリ接続時は注意が必要です。
EMT 128の使用可能なカートリッジインピーダンスは12~30Ωと「EMT MCカートリッジ専用」のような印象がありますが、出力電圧(0.3mV~1mV)の範囲も記載されており、内部ジャンパーにより64dB(出力0.6mV~1mVのカートリッジ用)、または70dB(出力0.3mV~0.5mVのカートリッジ用)と簡単にゲイン調整も可能です。
そこでEMTのカートリッジチャートをみると6、20、24、35、37Ωがあり、Lyra KLEOSの内部インピーダンスが5.6Ωで出力電圧が0.4mV。本機70dBポジションであれば適合範囲内なのでLyra KLEOSで組み合わせ、プレーヤーとアームはTechdas Airforce premire+SME SeriesV、ThalesTTT-Compact II+Thales Statementの2種類の組み合わせで聴いてみました。
![画像](https://kaitori.u-audio.com/wp-content/uploads/2022/06/emt128_thales-700x538.jpg)
Techdas、Thales のどちらでもかなり魅力的な音の出かたをし、空間に音がスッと解き放たれる感じです。
特に中域、ボーカル帯域がとても艶めかしく、この手の中域の鳴り方ですとだいたい上下の伸びに過不足さを感じたり、ややふんづまった感じになりがちですが、両端方向にまで気持ちよく自然に伸びていて、余韻の出かた、音の立ち上がり方、消え方についても代えがたい魅力があり、Lyraのカートリッジとの相性もとてもよい印象でした。
ちょうど本機をご試聴に来られたお客様も「この中域は魅力的でよいねぇ。」としみじみと仰っられていました。
EMT128にご興味ご関心のある方は、是非当店にお問い合わせください。
![画像](https://kaitori.u-audio.com/wp-content/uploads/2022/06/emt128-300x117.jpg)