U-BOYです。
前から気になっていたデジタル製品をお借りすることが出来ました。
究極のマスタークロックとの呼び声も高い、Abendrot Audio(アベンドートオーディオ)の10Mクロック、STUTEと、対になるD/Aコンバーター、HENGSTのセットです。
ちなみに、DACのHENGSTは、10Mクロックを入れないと動作しませんので、現実的には、クロックのSTUTEとセットで使うための製品と考えてよいと思います。
アベンドートオーディオは、元々、理想のマスタークロックを制作するために集まった技術集団から発足したオーディオメーカーです。
従来のクロックは、水晶からルビジウム、セシウムにすればジッターが少なくなる、電源や筐体で音が変わるから、というような場当たり的な要素が大きく、「どうすれば、ジッターが発生しないか?」という根本的な問題に対して理論立てて制作されたのが、当製品です。
過去に何度か他社の10Mをデモした経験がありますが、従来のクロックは良く言われるように焦点がピシッと合い、見通しが良くなる傾向が強く出ます。また、そのメーカーの独自の音色、例えば明るく華やか、柔らかくウォームといった具合です。
STUTEを通したサウンドは、今までの印象とは異なり、デジタル=不連続 な物が、アナログ=連続 になったような錯覚を覚えます。粒子が細かいというよりも、無くなってしまったような感覚です。
これ見よがしな大げさな表現ではありませんので、一聴くすると大変地味に感じますが、究極の自然体ともいえるサウンドです。
せっかくの機会ですので、当店のリファレンスである、CHプレシジョンのD1にクロックボードを付けて比較もしてみました。
10.0000MHzと表示されているのが分かるでしょうか。いかにも高精度な雰囲気がしますね。
元々、キメの細かい品のあるCH Precidonが、さらに自然体の音に変化します。D1の場合は、DACのC1、電源のX1など、色々なアップグレードが可能ですが、この10Mクロックの導入も1つの選択として大いに推奨します。
さらに、このD1のデジタルアウトを、DACのHENGSTに繋いでみました。
マスタークロック、トランスポート、DACの3点を接続する場合、DACにクロックのIN/OUTがあるときは、
マスタークロック ⇒ DAC ⇒ トランスポートと繋ぐのが一般的です。つまり、DACをマスターにするという考えです。
アベンドートオーディオがユニークなのは、DACにはクロックINしか付いていません。メーカーに確認したところ、トランスポートをマスターとして使用することを推奨しているそうです。
元々ジッターが無い正しいクロックを入れるという考えのため、上流から正しいクロックを与えた方が音が良いという思想のようです。
そのため、当店でもクロックをD1に入れて、その出力をDACに戻す方法で接続しています。
また、同社のクロックはインピーダンス50Ω仕様となっておりますが、専用の50Ωケーブルも販売しております。一般的なオーディオメーカーで販売されているデジタルBNCケーブルの場合は、ほぼ例外なく75Ω仕様となりますので、ハイクオリティの50Ωケーブルをお探しの方には、ケーブルから導入するのも良いと思います。