U-BOYです。
DALIの新シリーズ同社トップエンドのKOREを試聴しました。

ダリはデンマーク、ノーアエに本社を構えるスピーカーブランドで、1983年にピーター・リンドルフ氏によって設立されました。「KORE」のルーツは、2008年に構想され、2011年にプロトタイプが完成したハイエンドスピーカー「EMINENT ME9」にあるそうです。このスピーカーは、プロトタイプが完成したものの、当時の世界的な金融不安が原因でプロジェクトが中止になりました。KOREはその時の技術的アプローチや考え方を集約し、音楽の世界をさらに深く “視る” ことのできるスピーカーとして40年近くにおよぶDALIのすべてを結集したとのことでした。

ドライバーはすべて新開発されており、5ドライバー構成で、11.5インチのSMCドライバーを使ったウーファー×2と、7インチのSMCドライバーを使ったミッドレンジ×1、35mmのソフトドームツイーター×1、リボンツイーター×1を搭載しています。
ツィーターには、DALI EPICONシリーズのハイブリッドトゥイーターモジュールを進化させた、新しい高感度EVO-Kハイブリッドトゥイーターは、新たに自社製の35mmドームトゥイーターとリボントゥイーターエレメントを再設計して搭載しています。低周波数帯域での性能向上、クロスオーバー周波数でのシームレスな統合、低歪み、コンプレッションの低減などの改良が施されています。

KOREのツイン・バス・ドライバーは、フロントパネルに約85cmの間隔で配置されており、この間隔を利用して、差動フィルタリングよって垂直方向の拡散を制御し、リスニングポジションへの音放射を最適化しています。このバスドライバーはDALI特許のバランスドライブSMCとツイン60.7mm径ボイスコイル、ツイン・サスペンション・モーターシステムを搭載した11½インチドライバーです。バランスドライブSMCモーター・システムに加え、ウッドファイバーで強化されたハニカムサンドイッチ・ペーパーパルプ・ダイアフラムを搭載しています。その結果、適度な固有ダンピングを持ち、剛性を保ちながら過渡信号に瞬時に正確に反応することができる、高剛性かつ軽量なコンポーネントとなりました。ドライバーは、ノンリニアなダンピングとヒステリシスの影響を最小限に抑えるために特別に選ばれた特性を持つ、軽量の50ショア(硬さの単位)天然ゴム製ロールエッジでサポートされています。

エンクロージャーには、グロスラッカー仕上げのアンマラ・エボニー単板と対照的なテクスチャー仕上げのカーブウッドラミネートが、採用されており高級感を醸し出しています。フロントパネルにはアルミダイキャストと構造用複合材を採用することで、ドライバーを支えるための高剛性プラットフォームになっています。また、台座には34kgのセメント系樹脂複合材を採用しておりスピーカーの実質的な全重量を支える強固な土台となっています。

実際に音を聞いてみると見た目のような派手さはなく穏やかで、実直な音です。ただ、そのおだやかな表現の中に雄大さが感じられ、音数の多い楽曲においてもこのサイズ感でしか味わえない懐の深い表現を感じます。特に古い録音に対して独自の音楽性を発揮してくれ、楽曲の旨味だけを上手に抽出してくれる印象です。
