U-BOYです。
dCSの新製品をお借りしましたので、試聴レポートします。
Lina System(リナ システム)は、今回お借りしたネットワークDAC、マスタークロックに加えて、ヘッドフォンアンプの3製品から構成されます。
dCS製品は、作曲家の名前を冠したものが多いですが、Linaは、アインシュタインが使っていたヴァイオリンの名前から採用されているそうです。
まず、システムの中心となる、ネットワークDACです。
Ring DAC、ハードウェアの設定と選曲を一元化したMosaic アプリなど、基本路線は従来モデルを踏襲しています。
対応フォーマットも、DSD128、PCM384kHz/24bit、MQAデコード対応と同じです。
イーサネット接続によるRoonで試聴しました。
XLRよりもRCAの方が、力強く音が立っていて好ましいと感じましたので、RCA出しで聴いています。
比較対象は、上位モデルのBartok APEX DACです。
新製品が上位モデルとどれくらい肉薄できるか楽しみにしていましたが、価格は正直と言いますか、音の広がりや深みなど、Bartok APEX DACの方が良いです。
後述するマスタークロックを付けた状態でも、クロック無しのBartok APEX DACの方が格上という感じがします。
Lina Network DACは、よく言えば穏やかでゆったりとした表現です。
続いて、Lina Master Clockです。
10MHzのクロックが主流になる中、dCSは今も変わらず44.1系、48系と分周するマスタークロックを採用しています。
CD再生だけの時代と異なり、様々な周波数を扱うファイル再生の場合、本来は音源に合わせて、44.1/48kHzと設定を変える必要があります。
Lina Network DACの場合、外部クロックが44.1kHzで出力されている場合、44.1kHzの整数倍の音源の場合は外部クロックを、48kHzの整数倍の場合は内部クロックに自動切り替えできますので、クロックの設定で音が出なくなることはありません。
dCS同士の組み合わせの場合、44.1/48kHz系の2つの出力を繋ぐことで、音源に合わせて自動切り替えが可能です。
クロックを繋ぐと、単純に解像度があがるというよりも、音に深みが出て、質感が向上するような効果を感じました。
LinaシリーズのDACとクロックのセットよりも、Bartok APEX DAC単体の方がお勧めですが、将来的に単体ヘッドフォンアンプと追加したいユーザーや、スペースファクターを重視するお客様には、新しい選択肢として検討の価値はあると思います。