EPOS ES-7Nを聴いてみました

ヨーロッパで有名なスピーカーデザイナーでありオーディオコンサルタントでもあるカール・ハインツ・フィンクによる新オーナーシップのもとで復活したEPOS。

先に中型のスタンドマウント・スピーカー「ES-14N」が発表されましたが、こちらのES-7はその子機ともいえる小型ブックシェルフ型で、実際本国ではベビーEPOSとも言われているようです。

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ES-N7はES-14Nとは異なり、最近では少なりつつあるオーセンティックな四角いフォルムのブックシェルフスピーカーで、壁から放してスタンドに乗せて設置する場合と、まさしくブックシェルフやサイドボードに載せて壁近で設置する場合とで、トーンバランスを切り替えられるトグルスイッチがリアバッフルに装備されているのが特徴で、設置環境による制約が緩和されます。

このトグル・スイッチをトップポジションにすると、壁から30cmから50cmの距離に設置するのが最適で、アンダーポジションにするとスピーカーは壁近や本棚の中に置いたときに向く設定となりますが、
実際にはスイッチのポジション・アップ(Semi free)で約86dB、ポジション・ダウン(On wall)で約89dBと感度が変化しているそうです。ただメーカー的にはそれほどクリティカルにせず両方のポジションを試して、それぞれお部屋の環境との関係具合をみつつ、好みの鳴り方にマッチするほうで良いとしているようです。

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背面のトグル・スイッチは作動感触もしっかりしています。

ウーファー素材はES14Nと同じもので、13cmミッド/バス・ドライバーには、ES14Nの18cmウーファー・コーン用に開発されたマイカ入りポリプロピレン素材が使用されています。ツィーターは親機ES14Nの設計オリジナルをそのまま採用。Naim audioのロイ・ジョーンズの独特なアイデアによる金属プレートの取り付け型は秀抜で、これにより完成度の高いコンプレッション・ホーンのようなエネルギッシュで抜けの良い高域が得られているそうです。

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安定した温度と低コンプレッションを実現するために、ツィーター・ギャップには磁性流体は使用していません

EPOSスピーカーの部品選択は、すべてのパーツは最終的に実際のヒアリングで聴感上好ましいもので選ばれており、 クロスオーバーのフィルター・パーツは、PPコンデンサー、ポリエステル・コンデンサー、低損失電解コンデンサーが混在し、ほとんどすべてのインダクターは空芯で重要な抵抗はすべて無誘導の特注品とのことです。

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経験値と実際のヒアリングをもとに選抜されたパーツ構成

またキャビネット材は28mmのMDFパネルを使用し、間に特殊なダンピング層を挟むことでボックスの不要共振を制御。上部には木製ブロックが追加されており、ステレオイメージを最適化。キャビネットの静音化のために使われているのはたった1本のブレースだけとのことです。

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音の印象は中高音域のリニアな機敏さと整然とした発音を感じさせる開放的な表現で、スピーカーのサイズ的に最低域方向の解像度や中低域のコクまでは欲張れないものの、13cmのウーファー口径の割には背景に壮大な低域の空気感と陰影感をうまく配置するように漂わせ、キビキビとした反応の中高域とうまくブレンドされています。まるで腕のいい調律師がユニットの特性やクロスオーバー、またキャビネット特性をよく考慮したうえでバランスよく繊細にチューニングすれば、こういう音の響きが出せるといった職人技を感じさせる鳴り方です。
またクロスオーバー・ネットワークやキャビネット作りで経験値が豊富な設計チームが携わっているだけあって、アンプ出力などに左右されにくい鳴り方でもあるため、真空管アンプとの相性も良さそうです。

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最近インテリア的にこうした昔ながらの四角いスピーカーデザインが見直されてるのか、オーセンティックな形状や佇まいを好む方が少しずつ増えている印象があり、中古でそうしたスピーカーを探される方も散見しますが、程度が良く特性も整った個体はさすがに払底しており、きちんと再整備するとなるとコストも割高ですし純正パーツも入手困難です。また配信でハイレゾ音楽が当たり前の時代ではそうした昔の四角いスピーカーでは聴感上のレンジ、音場感や空気感、情報量的にもさすがに厳しくなってきているので、現代の設計技術を取り入れたこのモデルを選択してみるのも良いのではないでしょうか。

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