U-BOYです。
久しぶりに輸入が再開されたドイツZellaton(ゼラトン)のスピーカー、PLURAL EVOをお借りしたので、試聴レポートします。
Zellatonはなじみの無い方が多いかもしれません。
かつては、スイスのアンサンブルのスピーカーに搭載されていたアルミ箔の小型ウーファーを製造していた歴史あるユニットメーカーです。
Zellatonの旧モデル
Ensemble
表面がアルミ箔の時代から、内部は軽量の発泡構造を採用した振動板を採用していました。
何度かのモデルチェンジが行われ、現在はZELLATON EVO メンブレン(硬質フォーム膜)に進化。
内部の発泡構造は8割が空気で、軽量化と歪みの排除に大きく貢献しています。
一般的なスピーカーと比べて、スコーカーはワイドレンジ(90Hzから7,500Hz)で動作します。
この思想も以前のモデルから一貫しています。
フルレンジに似たオープンなサウンド特性が得られ、耳にとって重要な領域でのクロスオーバーが無いため、一般に問題となりがちな位相乱れの問題が発生しません。
トゥイーターはかなり高い周波数でクロスさせることができ、余分な低域の流入による不必要な負担をかけることなくその役割が果たせるメリットがあります。
ミッドレンジ・ドライバーは、背圧の影響を避けるため、後面解放の独立したキャビネット・チャンバーに組み込まれています。
スピーカー内側のバスレフダクトがあります。
バスレフダクトを開放する、2種類のフォームを使ってダクトを塞ぐことで、低音の調整ができます。
また、新たにバスポートを底面の内側に放射する新しいタイプの導音システムを導入。壁際近くの設置でも低域反射影響を軽減しています。
脚部は、スパイクではなくボール状になっており、それを専用のディスクで受けています。
デモ機は特注の鏡面仕上げになっていますが、標準はつや消しのステンレスです。
ZELLATON – PLURAL EVOの音質について
試聴で使ったシステム
- Roon Server: Ediscreation BACH JP MODEL
- DAC: Mola Mola – Tambaqui DAC(イーサネット接続)
- AMP: CH Precision – L10 & M1.1
- ソフト: Roonを使用。音源はBachのストレージに内蔵しているもの、Tidal、Qobuzを使用
店頭では、バスレフダクトに幅が狭いフォームを挿入した状態で試聴しています。
フォームの調整により低域特性を細かくコントロールできる柔軟性を備えていますので、設置環境や好みに合わせた最適なチューニングが可能です。
まず、音色が素直で特定のキャラクターのクセが少ないスピーカーだと感じました。
キャビネットはMDFがメインで、3種類の異なる木材が適材適所で使用され、部分的に金属板で補強がされています。スピーカー重量は95kgあります。
箱を響かせて雄大に歌わせるタイプではなく、余計な響きを載せず、音源に入った音をそのまま出しているようなイメージです。
空間は左右方向はスピーカーよりやや外側程度ですが、高さと奥行き方向の表現に長けていると感じました。
音楽本来の姿を忠実に再現することに重点を置いており、ジャンルを問わず自然な音質を実現しています。特にアコースティック楽器の繊細なニュアンスの再現性が秀逸です。
また、カタログスペック上は能率92dBとなっていますが、聴感上の印象ではもう少し能率が低い印象を受けました。他のスピーカーと比べると、余計な響きが少ないことも、そう感じる要因の1つかもしれません。