
U-BOYです。
SOULNOTEの2シリーズがver.2に刷新され、当店もE-2 ver.2を導入しました。
初代E-2は常設しておりましたので、新旧での違いを中心に紹介したいと思います。

SOULNOTE フォノイコライザー、E-2 ver.2について
SOULNOTE E-2は、発売当時から国内外で高い評価を得たモデルです。
E-2 Ver.2の目標は、MC、MM、そして光の全てのカートリッジにおいて、オリジナルモデルの音質を上回ることでした。この目標を達成するため、Ver.2は「3シリーズの知見」を取り入れ、回路的に「最先端バージョン」として生まれ変わっています。基板は全て新規に設計されました。
劇的な音質向上を実現した回路の進化
E-2 Ver.2の音質的なブレークスルーは、主に前段(50dBアンプ部)と後段(20dBフラットアンプ部)の回路構成の刷新にあります。
A. 後段20dBアンプ部への「New Type-R回路」採用

最も大きな進化は、MC、MM、光の全ての信号が通過する後段20dBフラットアンプ部に、フラッグシップモデルE-3で開発されたNew Type-R回路をそのまま採用した点です。
• 究極のシンプル化
New Type-R回路は、SOULNOTEの無帰還ディスクリートバランスアンプ回路の究極の形であり、理論的にこれ以上シンプルにすることが不可能と断言されています。
• トランジスタ数の削減
従来の「銀箱」以来引き継がれてきた基本形回路ではトランジスタ総数が24個だったのに対し、New Type-Rは8個と約3分の1に削減されています。
• 効果
New Type-Rの採用により、「ベールが剥がれたようなよりクリアで開放感あるサウンド」を実現しており、全てのカートリッジで音質が向上しています。
B. 前段50dBアンプ部のシンプル化とチューニング
MC/MM用の前段50dBアンプ部にも、音質を追求したチューニングが施されています。
• 新開発バイアス回路
A-2 Ver.2でも採用された新開発のバイアス回路を導入し、LHH時代から長年使用されてきたLED定電圧回路を廃止しました。これは、周囲のクオリティが上がるにつれて、従来のLEDバイアスが特にSN感的なボトルネックになってきたためです。
• エミッタホロア回路の削除
ph1.0以来引き継がれてきた、初段と2段目の間に挿入されていたローカルエミッタホロア回路が削除されました。これにより、「これ見よがし感」が減り、「ベールがさらに1枚剥がれ」、より素直な音になったそうです。
光カートリッジ対応のブラッシュアップ
E-2は、DS Audio製以外で初めて光カートリッジに対応したフォノイコライザーであり、全てのカートリッジに対応した世界初のモデルでした。Ver.2では、この光カートリッジ対応機能がさらにE-3の知見によりブラッシュアップされました。
• 電流分離ケーブル対応
E-3で採用された電流分離ケーブル(信号線とLED用DC電源供給ルートを分けるケーブル)に対応しました。
• 専用フローティング電源の追加
この電流分離ケーブルに対応するため、E-2 Ver.2では、アンプ側でGNDループを避けるために信号GNDとDC電源GNDを分離する必要があります。このため、GNDをフローティングしたDC電源回路を別に用意し、電流分離ケーブル接続時には電源ごとバッサリ切り替える仕組みが実装されました。
初代E-2では、光カートリッジ用の電源のON/OFFボタンがありましたが、Ver2は上記の理由によりボタンが無くなりました。
その他の特徴と設計思想の継承
E-2 Ver.2は、従来のE-2が持つ強力な特徴や機能、そしてSOULNOTEの基本的な設計思想を継承しています。
• 強力な電源部

E-2は、微小信号を扱うフォノイコライザーとしては非常識な、400VA超弩級トロイダルトランスを投入しており、E-2 Ver.2にもこの強力なトランスとハイスピード無帰還電源が搭載されています。
• 豊富なEQカーブ対応
E-2 Ver.2は、RIAA以外のオールドイコライザーカーブに幅広く対応しており、Roll Off(6種類)、Turn Over(4種類)、Low Limit(6種類)を独立して選択可能で、合計144パターンのカーブが得られます。これにより、ユーザーは正解がわかりにくいEQカーブの判断を放棄し、好みの選択を行うことができます。
• インピーダンスの値の変化

初代のE-2は低インピーダンスの値が細かく設定できる反面、MCの上限が100Ωでした。
E-2 Ver.2では、MC負荷抵抗の値を( 3Ω , 10Ω , 30Ω , 100Ω , 300Ω , 1KΩ ) から切り替えできるようになり、現実的に使いやすい仕様になりました。
• 入力の多様性: MCバランス専用入力、MC/MMアンバランス入力(2系統)、光電式カートリッジ専用入力の4系統を同時に接続し切り替えて使用できます。
音の変化について
試聴で使ったシステム
- プレーヤー: VERTERE SG-1PKG (MC) / Esoteric T1 (光)
- カートリッジ: Lyra ATLAS λ(MC) / DS AUDIO W3 (光)
初代E-2は常時使用していましたので、特徴はよく把握しています。
まず、リファレンスのVERTERE SG-1と、Lyra ATLASの組み合わせで試聴しました。
インピーダンスは300Ωにしています。
初代E-2とくらべて、よりフレッシュでクリアーな音です。音の抜けが良く、見通しもよいです。
盤のノイズや状態もふくめて全部提示するような情報量の高さを感じます。
また、地に足の付いたような、充実した中低域の厚みもあります。特に、導入後、数日間で低域の充実度がかなり変わりました。
従来のE-2も空間は広いと思っていましたが、前後や上下などの位置関係もより明確に把握できます。確実に進化しているがわかります。
光カートリッジは、電源分離ではなく、通常のRCA接続ですが、それでも明らかに従来のE-2よりも安定感のある音がしています。
現在、生産が追いついていない状態でお時間をいただいております。
常設展示しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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